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名古屋大学のシンクロトロン光施設建設計画は,平成 3 年に検討を開始し, 平成 6 年には NSSR (Nagoya University Small Synchrotron Radiation Facility) 設置促進委員会が活動を開始しました.当初から「小型」で「硬 X 線」が使える施設建設を目指しており,同計画は,周辺装置や研究・実験支援までを含む「光科学ナノファクトリー」構想へと発展しました.

一方,愛知県では,次世代モノづくり技術の創造・発信を図る「知の拠点」計画に取り組んでいました.その過程で,名古屋大学が提案してきた光科学ナノファクトリー構想と「知の拠点」計画を合体することが最適との判断に至りました.中でもシンクロトロン光施設は,あいちシンクロトロン光センターとして「知の拠点」の中心施設と位置づけられ,愛知県,産業界,大学,研究機関の連携の基に,科学技術交流財団が整備母体となって計画を進め,平成 24 年度に運転を開始しました.

本センターは,あいちシンクロトロン光センターを通じて,名古屋大学の研究と教育の基本目標,なかでも「創造的な研究活動」・「地域社会の特性を生かし,多面的な学術研究活動を通じて地域の発展に貢献する」・「国内外の諸機関との連携によって学術文化の国際的拠点を形成する」ことを目的に平成 19 年に設立されました.

あいちシンクロトロン光センターは,平成 25 年 3 月に供用が開始され,多くのユーザーに活用されています.あいちシンクロトロン光センターの光源は小型ながら硬X 線が十分利用できる仕様であり,減衰しない一定強度の光を利用できるトップアップ運転を実現しています.ビームラインは硬X 線を中心に 6 本からスタートしていますが,さらに数本のビームラインが増設されています.本センターは,あいちシンクロトロン光センターの供用開始に向けた設計・建設への全面的支援のみならず,供用開始後の運転および運営,ビームライン増設などの全面的支援に加えて,利用者への学術的・技術的支援という多彩な活動を行っています.

本センターは,光源加速器の開発からシンクロトロン光利用まで,幅広い領域にわたって,国際的人材育成と最先端研究を推進するのみならず,産学行政連携による研究・開発推進の中心的役割を担うことを目的としています.さらに,あいちシンクロトロン光センターを中心とした産学行政連携のモノづくり拠点形成とイノベーション創出を目指した活動を進めています.

2013年当時名古屋大学総長濱口道成先生が公開された濱口プラン(2013)。「世界トップレベルの研究推進」として、「シンクロトロン光施設等を活用した最先端研究の推進」が挙げられている。