XAFSというのは X-ray Absorption Fine Structure の略語です。X線は高いエネルギー(光子一個あたりで可視光の1,000〜10,000倍)をもった光です。この高いネルギー領域で測った光の吸収(X-ray Absorption)スペクトルに見られる細かな振動構造(Fine Structure)のことを XAFS と言います。吸収スペクトルなので横軸は光のエネルギー(波長や波数の時もありますが)でグラフを描くことになります。つまり、XAFS測定では、試料にあたるX線のエネルギーを連続に変える必要があります。そんなことができる光源はほぼ放射光源だけに限られるので、XAFSと放射光は切っても来れない関係だと言えます。
右の図は測定されたXAFSスペクトルの例です。XAFSの振動構造はどこにでも現れるわけではなく、「吸収端」と呼ばれる吸収係数が階段状に大きく変化した場所の近辺あるいはその高エネルギー側に現れます。
「吸収端」が現れる場所は試料に含まれる元素によって決まっています。右の図では 10.36 keV に段差がありますが、これは試料が Ga を含んでいたからです。なので、右の様な測定結果があればまず、試料が Ga を含んでいたということがわかります。
次に、吸収端の右側(高エネルギー側)に、最初はノイズかと思えるような(でもノイズではないのです)細かな構造が、少し遠くに行くとはっきり振動しているような構造が見えます。これがXAFSです。
ここから先は、振動構造の形を細かく見ていくと色々なことがわかるのですが、興味があれば「XAFS法の原理」を見てみて下さい。あるいは、まずは興味を持ってもらうために準備した「ちょっとXAFS測定してみた」を覗いてみてください。
2021.4.26 (金)