放射光とは

荷電粒子の運動方向を変えると光が出ます。

運動している荷電粒子(ここでは電子だということにします)に力を加えて運動の方向を変えた時に出る光を「放射光」と呼びます。

放射光を何かに利用しようとすると、高速で運動する電子を磁石で曲げて閉じた軌道を描かせるようにするのが効率的です(電子を繰り返し使えるので)。この時には周回軌道を作るための磁石が、放射光の光源にもなります。その際、光として失われるエネルギーを補って電子を加速する(速度を保つ)必要もあるので、周回軌道全体として「シンクロトロン」という粒子加速器を形作ります。

磁石で周回軌道を作ると効率よく電子を使って光を出し続けられる。磁石は周回起動を作るためと、光を出すための2つのは働きをします。

このようなことから、放射光は、軌道放射光、シンクロトロン光という名前で呼ばれることもあります。この web サイトでは組織名等固有名詞として使われている場合以外、「放射光」という表現を使うつもりです。それは単に文字数が少ないからで他意はありません。うっかり混在していても気にしないで下さい。

放射光には

  • 非常に広いエネルギー範囲に渡る光
    装置次第ですがX線の領域になる 10keV オーダーのエネルギーの光まで出ます
  • 非常に強い光
    X線源としては実験室装置より3〜4桁以上強い光になります
放射光のエネルギー(波長)と強度の関係の例。可視光は図の左端1目盛り以下の領域でしか無いことを思うと、放射光の範囲の広さが感じられる。
  • 指向性の強い光
    レーザーほどではないですが数10m で数センチ程度しか広がりません
  • 直線偏光の光
    光の中心は放射の原因になった力の方向にほぼ完全に偏光しています
  • パルス光
    電子の周回に起因した数100MHz オーダーの繰り返し周期を持ったパルス光です

など、沢山の特徴があります。このため様々な研究に応用され、物質科学の研究にとっても重要な光です。