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tabuchi:9809format

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tabuchi:9809format [2020/12/09 08:52] mtabtabuchi:9809format [2025/06/11 07:43] (現在) mtab
行 3: 行 3:
  あいちSRの硬X線XAFSビームラインBL5S1, BL11S2 と、軟X線XAFSビームライン BL6N1 では、  あいちSRの硬X線XAFSビームラインBL5S1, BL11S2 と、軟X線XAFSビームライン BL6N1 では、
 XAFS測定に XafsM2 と呼ばれる計測プログラムを使用しています。 XAFS測定に XafsM2 と呼ばれる計測プログラムを使用しています。
-ここでは、XAFS 測定の結果、XafsM2 が記録する測定データのフォーマットにいて説明します。+XafsM2 が記録するXAFS測定データのフォーマットは、9809フォーマットと呼ばれるフォーマットに準じてます。 
 + 
 + この文章では9809フォーマットを変更、拡張した部分を含めて XafsM2 の XAFS測定データフォマットを説明します。 
 + 
 + 
  
 ===== - 9809フォーマット ===== ===== - 9809フォーマット =====
行 91: 行 96:
   * 測定開始前には分光器の角度は 12.5 度だったこと   * 測定開始前には分光器の角度は 12.5 度だったこと
 がわかります。 がわかります。
 +
 + 測定結果のファイルに記載されている「分光器の角度」をその測定点のエネルギーに直す際にも重要です。どの様に変換するかは注3を読んでみて下さい。
  
  次の行に記録されているのは、「ビームライン名」、「測定モード」、「繰返し数」、「測定点数」です。  次の行に記録されているのは、「ビームライン名」、「測定モード」、「繰返し数」、「測定点数」です。
行 146: 行 153:
  最初に記録されている"ORTEC( 0)" というのは、測定に使われた機器の種類を表すことになっています。  最初に記録されている"ORTEC( 0)" というのは、測定に使われた機器の種類を表すことになっています。
 しかし、あいちSRの硬X線XAFSビームラインでは 9809フォーマットで想定されている機器(ORTEC や CAMAC)は使われていませんし、 しかし、あいちSRの硬X線XAFSビームラインでは 9809フォーマットで想定されている機器(ORTEC や CAMAC)は使われていませんし、
-仮に使われていたとしても、前述したように XafsM2 では複数の計測機器を用いた複雑な構成での計測ができるため、+仮に使われていたとしても、前述したように XafsM2 では複数の検出器を用いた複雑な構成での計測ができるため、
 9809フォーマットで想定しているようなシンプルな表現ができません。 9809フォーマットで想定しているようなシンプルな表現ができません。
 そこで、XafsM2 では、使用機器欄を常に "ORTEC( 0)" とします。言い換えるとこの記述に意味はありません。 そこで、XafsM2 では、使用機器欄を常に "ORTEC( 0)" とします。言い換えるとこの記述に意味はありません。
行 156: 行 163:
 厳密な定義が不明だったからです。 厳密な定義が不明だったからです。
 XafsM2 では PF と同様のパタンで測定した時の "NDCH" がなるべく PF で記録したファイルの "NDCH" と同じになるように努力しましたが、 XafsM2 では PF と同様のパタンで測定した時の "NDCH" がなるべく PF で記録したファイルの "NDCH" と同じになるように努力しましたが、
-あいちSR、PF 共に計測機器、計測プログラムの更新が続いていますので現在も同じである保証はありません。\\+あいちSR、PF 共に検出器/計測、計測プログラムの更新が続いていますので現在も同じである保証はありません。\\
 XafsM2 での "NDCH" の値は、透過法の場合には "計測チャンネル数(I0, I1, I2,...)+1" です(検出器の数+1になります)。 XafsM2 での "NDCH" の値は、透過法の場合には "計測チャンネル数(I0, I1, I2,...)+1" です(検出器の数+1になります)。
 SSD/SDD を用いた蛍光法では "NDCH" は蛍光検出器のチャンネル数(7とか19とか)に I0 を足した数(8 とか 20)になります(検出器の数と同じです)。\\ SSD/SDD を用いた蛍光法では "NDCH" は蛍光検出器のチャンネル数(7とか19とか)に I0 を足した数(8 とか 20)になります(検出器の数と同じです)。\\
行 201: 行 208:
 測定時の「表示法」の選択で決まります。例えば「log(I0/AUX1)」等を選んだ場合は "2"、「AUX1/I0」等を選んだ場合は "3" になります。 測定時の「表示法」の選択で決まります。例えば「log(I0/AUX1)」等を選んだ場合は "2"、「AUX1/I0」等を選んだ場合は "3" になります。
 ))。 ))。
-  * 101: 9809フォーマットでは、フォトンカウント型の検出器のリセット回数を記録することになっている。\\+  * 101: 9809フォーマットでは、[[ detector-meas-system | フォトンカウント型の検出器/計測系 ]]のリセット回数を記録することになっている。\\
            リセット回数の記録は測定時の状況に関するヒントになるので有用ではあるが、            リセット回数の記録は測定時の状況に関するヒントになるので有用ではあるが、
            計測値の計算等に直接使われるものではないことや、            計測値の計算等に直接使われるものではないことや、
行 215: 行 222:
  データ本体に記録される計測値はこの「オフセットを引いた後の数字」です。  データ本体に記録される計測値はこの「オフセットを引いた後の数字」です。
 もし生データが必要な場合には記録されている計測値にこのオフセットを加算して下さい。 もし生データが必要な場合には記録されている計測値にこのオフセットを加算して下さい。
-但し、計測値は、積分型の検出器の場合、計測時間分の積分値ですが、オフセットは積分型の計測器の場合 1秒の計測値になっていることに注意して下さい。+但し、計測値は、積分型の検出器/検出系の場合、計測時間分の積分値ですが、オフセットは 1秒の計測値になっていることに注意して下さい。
  
 ヘッダを構成する情報は以上です。 ヘッダを構成する情報は以上です。
行 251: 行 258:
   - 先頭から2つのカラムは、分光器の指示角度(設定角度)と実際に到達した角度を実測した角度です。\\   - 先頭から2つのカラムは、分光器の指示角度(設定角度)と実際に到達した角度を実測した角度です。\\
     自分で解析プログラムを作成するときなど、角度からエネルギーを計算する場合は 2番目の角度を使うようにして下さい。     自分で解析プログラムを作成するときなど、角度からエネルギーを計算する場合は 2番目の角度を使うようにして下さい。
-  - 3番目のカラムは計測時間を表します。XafsM2 積分で計測するタイプの検出器 +  - 3番目のカラムは計測時間を表します。XafsM2では [[ detector-meas-system | 積分で計測するタイプの検出器/計測系 ]](( 
-((あいちSRのXAFS測定ビームラインで使われている計測の大半がこのタイプです。+あいちSRのXAFS測定ビームラインで使われている検出器/計測の大半がこのタイプです。
 イオンチャンバの電流値、転換電子収量の電流値、蛍光検出器のフォトン数等がそうで、 イオンチャンバの電流値、転換電子収量の電流値、蛍光検出器のフォトン数等がそうで、
-現在 BL5S1, BL11S2 で XAFS 測定に日常的に使う検出器は全て積分型の計測を行っています。)) +現在 BL5S1, BL11S2 で XAFS 測定に日常的に使う検出器は全て積分型の計測を行っています。))では、 
-    では、計測値が時間に比例して大きくなります。全部のブロックの計測時間が同じなら問題になりませんが、+    計測値が時間に比例して大きくなります。全部のブロックの計測時間が同じなら問題になりませんが、
     例えば、あるブロックは 1秒計測で、次のブロックは 2秒計測だとすると、ブロックをまたいだところで見かけの計測値が2倍変化します。     例えば、あるブロックは 1秒計測で、次のブロックは 2秒計測だとすると、ブロックをまたいだところで見かけの計測値が2倍変化します。
-    従ってデータとして使用するには計測時間で割って「1秒あたり」の値にする必要がります。+    このデータをそのまま表示するような場合には計測時間で割って「1秒あたり」の値にするなどした方が良いかもしれません(( 
 +通常は $I_0$ として記録されている値も計測時間の積分値になっているので、 
 +$\mu t$ に直すために $\log(I_0/I)$ あるいは $I/I_0$ を計算する場合は、分子分母両方に有る時間が消えるので、計測値を予め 
 +「1秒あたり」に直さなくて大丈夫です。逆に、積分型でない計測値と組み合わせるときには $I_0$ を「1秒あたり」に直す必要がります))
   - 4カラム目以降をモード行と見比べると、4カラム目のモードが 1 なので、このカラムの値が $I_0$ だということがわかります。   - 4カラム目以降をモード行と見比べると、4カラム目のモードが 1 なので、このカラムの値が $I_0$ だということがわかります。
   - さらに、5カラム目はモードが 2 なので、その値を$I$だとすると$\log(I_0/I)$ が $\mu t$ 相当の値になる数字だということがわかります。   - さらに、5カラム目はモードが 2 なので、その値を$I$だとすると$\log(I_0/I)$ が $\mu t$ 相当の値になる数字だということがわかります。
行 283: 行 293:
 === - 蛍光法での測定データ例(2) === === - 蛍光法での測定データ例(2) ===
  
- 蛍光法での測定データ例1は、フォトンカウント型の検出器で測定を行っていましたが、 + 蛍光法での測定データ例1は、[[ detector-meas-system | フォトンカウント型の検出器/計測系 ]]で測定を行っていましたが、 
-積分型の検出器/検出系で蛍光や電子終了の測定を行った場合、ICR に相当する数字が無いことがあります。+一般的な積分型の検出器/検出系で蛍光や電子終了の測定を行った場合、ICR に相当する数字が無いことがあります。
 蛍光法での測定のデータ例(2)としてあげたファイルはその様な例です。 蛍光法での測定のデータ例(2)としてあげたファイルはその様な例です。
 このファイルのラベル行以下を見ると、次のようになっています。 このファイルのラベル行以下を見ると、次のようになっています。
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 ここではこれ以上踏み込みません。もし必要になったらスタッフに尋ねてみて下さい。 ここではこれ以上踏み込みません。もし必要になったらスタッフに尋ねてみて下さい。
 ))。 ))。
 +これは、使用している[[ detector-meas-system | 積分型の検出器/計測系 ]]が原理的に数え落とさないからです。
 +その代わりにエネルギー分解能がないので、自分が測定したい蛍光X線以外の光が強いと良い測定ができなくなります。
  
 === - 数え落とし補正 === === - 数え落とし補正 ===
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 +------- 
 +当 web ページとその下のページに関するお問い合わせ等ございましたら、[[連絡先|連絡先]]にご連絡をお願いします。 \\ 
 +[[start|田渕のページのルート]]
  
  
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