ユーザ用ツール

サイト用ツール


tabuchi:2dxafsview-cttr2

差分

このページの2つのバージョン間の差分を表示します。

この比較画面へのリンク

両方とも前のリビジョン前のリビジョン
次のリビジョン
前のリビジョン
tabuchi:2dxafsview-cttr2 [2025/10/05 15:51] – [1. 3D-XAFS / CT-XAFS データの再構成] mtabtabuchi:2dxafsview-cttr2 [2025/10/13 08:51] (現在) – [1. 連携の概要] mtab
行 6: 行 6:
 両者は連携して動作することができ、3次元空間内の各点での解析を行うことができます。 両者は連携して動作することができ、3次元空間内の各点での解析を行うことができます。
 ここではその連携した解析の手順について簡単に解説します。 ここではその連携した解析の手順について簡単に解説します。
 +
 +===== - 連携の概要 =====
 +
 +ctTr2 と 2dXafsView を使った CT-XAFS 解析の概要は次のようになります。
 +
 +  - CT-XAFS 測定を行う。\\
 +    具体的には、以下の様な測定を行うことになる。
 +    - XAFS測定の各エネルギー点 $E_i \in \{{\rm XAFS}\}$ において、CT再構成のため各 $\theta_j \in \{{\rm CT}\}$ にて
 +      対象試料の2次元の透過像 $I_1(E_i, \theta_j)$を撮影する。
 +    - 試料なしで撮影した 2次元像のセット $I_0(E_i)$ を準備する\\ (試料がないので、$\theta_j$ を変えて撮影する意味はない)。
 +    - 撮像デバイス固有のバックグラウンドを知るために光が入射していない状態の像 $I_{\rm BG}$ を準備する\\ (光を入射しないので$E_i$を変える意味もない)
 +    - カメラのような2次元の撮像デバイスで撮影を行うと$I_0$や$I_1$は2次元の像になる。画像内で回転軸に平行な方向を$z$、垂直な方向を$y$とし、
 +      2次元像であることを強調すると、$I_0 = I_0(E_i,y,z)$、$I_1 = I_1(E_i,\theta_j,y,z)$と書ける(画像の奥行き方向が$x$ということになる)。
 +  - CT再構成を行う。\\
 +    - CT再構成の手続きは、投影像が「投影経路上の対象物質の物理量の積分値」の像である場合に適用可能で、
 +      $0\sim180^\circ$の範囲の様々な方向からの投影像があると体積中の各点での「対象物質の物理量」が求まる。
 +    - $I_1$, $I_0$ から計算できる $M(E_i, \theta_j) = \log\{ I_0(E_i) / I_1(E_i, \theta_j) \}$ は、
 +      試料の「吸光度」の投影像であるが、この像はまさに「投影経路上の対象物質の物理量$\equiv$吸光度の積分値」となるのでこの条件を
 +      満たす((吸光度は通常 $\mu t$ と書かれるが、$\mu$ と $t$ を独立に議論できるわけではないので、ここでは $M \equiv \mu t$ という記号を使う))。\\
 +      $M$も2次元の画像だということを強調すると$M=M(E_i,\theta_j,y,z)$と書ける。
 +    - 一つの決まったエネルギー $E_i$ の吸光度像$M(E_i,\theta_j)$の中で$z=z_k$軸となる$z$軸に垂直な一つのライン$M(E_i,\theta_j\in\{CT\},y,z_k)$のセット($\theta_j$違い)に対して
 +      CT再構成を行うと、$z$ に垂直な断面($xy$平面)内の吸光度像が得られる。すなわち $M(E_i,\theta_j\in\{CT\},y,z_k) \overset{CT}{\Longrightarrow} M(E_i, x, y, z_k)$。\\
 +      (改まって書くとCT再構成は$(\theta,y)$座標から$(x,y)$座標への変換だということになる)
 +    - これを$z_k$を変えながら繰り返すと体積内の任意の点$(x,y,z)$の吸光度$M(E_i, x, y, z)$が求まる。
 +    - さらに $E_i$ を変えながら CT再構成を繰り返すことでエネルギーの違いも含めた完全な吸光度のデータセット $M(E,x,y,z)$ が得られる。これが CT-XAFS データセット $M=\mu t(E;x,y,z)$ になる。
 +  - CT-XAFS の解析を行う。
 +    - 任意の点$(x,y,z)$の吸光度スペクトル$M(E)$を解析すると、XANES の範囲でスペクトルのエネルギーシフト($\Delta E_0$)
 +      や対象元素の価数($V$)、EXAFS の範囲まで解析できて結合距離($R$)や配位数($N$)、デバイワラ因子($\sigma$)が求まる。
 +    - $z$ を一つ決めたデータセット $M(E;x,y,z=z_i)$ についてこれを行うことは 2次元の XAFS 解析と等価になる。
 +    - 全ての $z=z_i$についてこの解析を行えば、3次元の任意の点$(x,y,z)$のXAFS解析が行えたことになり、様々な量の3次元分布$\Delta E_0(x,y,z), V(x,y,z), \cdots$が求まる。
 +    - この結果を適切に表示すること、3次元の価数分布等を示すことができる。
 +
 +この様な流れの中で、ctTr2 が担当するのは 2-c,d,e の部分で、2dXafsView は 3-a,b の部分です。
 +さらに、ctTr2 から 2dXafsView を操作して $z$ 違いの解析を進めることができ 3-c が実現できます。
 +以下に説明するように、ctTr2 と 2dXafsView を使用し、両者を連携させることでこの様な 3D-XAFS 解析を少ない労力と簡単な操作で進められます。
 +
 +最後に結果を視覚化する必要がありますが(3-d)、現時点ではこれは何か適切な外部プログラム(例えば 3D Slicer)を用いて行います。
  
 ===== - 3D-XAFS / CT-XAFS データの再構成 ===== ===== - 3D-XAFS / CT-XAFS データの再構成 =====
行 35: 行 72:
   - 「回転中心」を選べたら「CT再構成」ブロックで「計算実行」してみて下さい(この時「計算実行」ボタンの右の CT1/CT2 は CT1 を選んで下さい)。   - 「回転中心」を選べたら「CT再構成」ブロックで「計算実行」してみて下さい(この時「計算実行」ボタンの右の CT1/CT2 は CT1 を選んで下さい)。
   - 画像表示部の「再構成画像」にその結果が表示されます。   - 画像表示部の「再構成画像」にその結果が表示されます。
 +  - 必要なら「CT再構成設定」ブロックの中で「角度補正」を指示して「計算実行」を行うと、指示した角度だけ成画像が回転します。
   - 「再構成画像」画面の中でマウスホイールを回して画像を拡大縮小し、解析したい部分が画面中心付近に収まるようにして下さい。   - 「再構成画像」画面の中でマウスホイールを回して画像を拡大縮小し、解析したい部分が画面中心付近に収まるようにして下さい。
   - 「再構成画像」画面の中で適切な位置とサイズを選んだ後で、「再構成画像」画面下部の「計算範囲に設定」ボタンを押して下さい。   - 「再構成画像」画面の中で適切な位置とサイズを選んだ後で、「再構成画像」画面下部の「計算範囲に設定」ボタンを押して下さい。
tabuchi/2dxafsview-cttr2.1759679509.txt.gz · 最終更新: by mtab