tabuchi:simsl
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tabuchi:simsl [2020/05/29 16:07] – [4. 条件ファイル] mtab | tabuchi:simsl [2020/05/30 10:15] (現在) – mtab | ||
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行 9: | 行 9: | ||
解凍した時にできるフォルダの中の、dll ファイルと platforms, styles という二つのフォルダは | 解凍した時にできるフォルダの中の、dll ファイルと platforms, styles という二つのフォルダは | ||
実行ファイル simSL.exe と同じ場所に置いておいて下さい。examples は、計算用の設定ファイルの例を収めています。 | 実行ファイル simSL.exe と同じ場所に置いておいて下さい。examples は、計算用の設定ファイルの例を収めています。 | ||
- | + | | |
- | | + | |
+ | |||
===== - 使ってみる ===== | ===== - 使ってみる ===== | ||
行 36: | 行 36: | ||
リセットしたくない場合(同じスケールで見たい場合)は画面右上の「Keep Scale」ボタンをチェックして下さい。 | リセットしたくない場合(同じスケールで見たい場合)は画面右上の「Keep Scale」ボタンをチェックして下さい。 | ||
+ | ===== - 出力ファイル ===== | ||
+ | |||
+ | 計算結果は画面に表示されますが、ファイルとしても保存されます。 | ||
+ | ドラッグ・ドロップでしたファイルがあった場所に、同じ名前(但し名前の末尾に ' | ||
+ | ' | ||
+ | ' | ||
+ | |||
===== - 条件ファイル ===== | ===== - 条件ファイル ===== | ||
- | {{ tabuchi: | + | 条件ファイルの書き方説明するために |
+ | この節の末尾に条件ファイルの一例を示します。\\ | ||
+ | これは、ダウンロードしたファイルを展開した時にできる examples の中の SL-ex0.txt の内容です。 | ||
+ | |||
+ | * 次の例の様に '#' | ||
+ | < | ||
+ | 行の途中に '#' | ||
+ | * 次の例の様に ' | ||
+ | < | ||
+ | * ' | ||
+ | 基板の指定は基板の格子定数を与えて、超格子層の歪を決めるために使われます。 | ||
+ | その際、全ての層は無緩和で、ポアソン比 ν=1/3 だと仮定して計算しています。\\ | ||
+ | 3番目のパラメータは基板の回折を計算から排除するかどうかを指定しています。 | ||
+ | 1 なら計算に入れず(超格子の a 方向の格子定数を拘束する役割はする)、0 なら計算に入れます。デフォルトは 0 です。 | ||
+ | < | ||
+ | * ' | ||
+ | 組成が違う LAYER を幾つか指定することで、例えば InP / InGaAs 超格子を構成します。 | ||
+ | < | ||
+ | - 先頭の数字 10 はその層が 10ML の厚さであることを示します。 | ||
+ | - 二番目の数字 1.0 はその層の意図された In組成が 1.0 であることを示します。 | ||
+ | - 三番目の数字 0.0 はその層の意図された As組成が 0.0 であることを示します。 | ||
+ | - 「意図された組成」と書いているのは、 | ||
+ | 組成は界面付近で変動して意図した値とは違う値になり得ると考えているからです。 | ||
+ | - 次に続く「ABRUPT 0 0.53 1.0」と「ABRUPT 0 0.53 1.0」はそれぞれ上下の界面の状態を指定しています。 | ||
+ | (前が上界面の指定、後が下界面の指定) | ||
+ | - どちらも書き方は同じで、最初のキーワードが界面の組成分布の形を示します。\\ | ||
+ | ABRUPT(または A) : 遷移層なしにいきなり変化する。\\ | ||
+ | LINEAR(または L) : 界面で組成が線形に変化する。\\ | ||
+ | PARABOLIC(または P) : 界面で組成が二次関数的に変化する。\\ | ||
+ | HARMONIC(または H) : 界面で組成が正(余)弦関数的に変化する。\\ | ||
+ | - 続く数字は遷移層の厚さを示します。この例では ABRUPT なので遷移層の厚さは何でも良いのですが、一応 0 にしてあります。 | ||
+ | - 続く二つの数字 0.53 と 1.0 は界面の先にある層の III族組成、V族組成を示しています。\\ | ||
+ | 遷移層がある場合(L, | ||
+ | 遷移総内部ではその値から「意図された値」に向かって変化します。 | ||
+ | - 遷移層があっても、一つの LAYER 全体の厚さは変わりません。\\ | ||
+ | 例えば、LAYER の厚さが 10 で、遷移層の厚さが上下ともに 4 だとすると、 | ||
+ | 「意図された組成」の層の厚さが 10−4×2=2ML になります。 | ||
+ | * ' | ||
+ | < | ||
+ | ここでの例は、最初の LAYER で指定された 10ML の InP 層と、2番目の LAYER で指定された 10ML の InGaAs 層が | ||
+ | | ||
+ | | ||
+ | |||
+ | 他の例も確認してみて下さい。 | ||
+ | - SL-ex0.txt | ||
+ | - SL-ex1.txt : InGaAs 10ML / InP 10ML の超格子(繰返し20回)、界面は線形に組成が変化し、遷移層は4ML | ||
+ | - SL-ex2.txt : InGaAs 10ML / InP 10ML の超格子(繰返し20回)、界面は放物的に組成が変化し、遷移層は4ML | ||
+ | - SL-ex3.txt : 純粋な InP。構造がないと超格子回折が出ないことの確認(プログラムのチェック)用。 | ||
+ | - SL-ex4.txt : InGaAs 20ML / InP 20ML の超格子(繰返し20回)、界面はアブラプト | ||
+ | - SL-ex5.txt : InGaAs 20ML / InP 20ML の超格子(繰返し20回)、界面は放物的に組成が変化し、遷移層は10ML | ||
+ | - SL-ex6.txt : InGaAs 20ML / InP 20ML の超格子(繰返し20回)、界面は正弦関数的。遷移層は10ML | ||
+ | |||
+ | <file text SL-ex0.txt> | ||
+ | # X線の波長(オングストローム単位) | ||
+ | WAVELENGTH 1.500 | ||
+ | |||
+ | # 基板の組成 : In_x Ga_(1-x) As_y P_(1-y) | ||
+ | # SUBSTRATE III族組成x V族組成y | ||
+ | SUBSTRATE | ||
+ | |||
+ | # 超格子を構成する LAYER の指定 | ||
+ | # LAYER 厚さ[ML] III続組成x V族組成y | ||
+ | # " | ||
+ | # | ||
+ | # 4ML遷移層/ | ||
+ | |||
+ | # 10ML の InP で、上下ともにアブラプトに組成変化 (遷移層厚や、上下の組成は意味がない) | ||
+ | LAYER 10 1.0 0.0 | ||
+ | |||
+ | # 10ML の InGaAs で、上下ともにアブラプトに組成変化 | ||
+ | LAYER 10 0.53 1.0 | ||
+ | |||
+ | # 超格子の繰返し回数 | ||
+ | REPEAT | ||
+ | |||
+ | </ |
tabuchi/simsl.1590768448.txt.gz · 最終更新: 2020/05/29 16:07 by mtab