目次

q4ps のマニュアル

1. はじめに

q4ps は MLCF法がうまく動作するかどうかの検証の段階から使用されていたツールです。さらにさかのぼると、MLCF法よりも前にあった解析法のアイデアのチェックにも使用されていました。このため、MLCF法で2次元的な解析することだけを考えると不要な機能とそのためのGUI(ボタン類)があります。ここでは、そうした余分な機能のことは無視して「q4psを用いてMLCF法で2次元的な解析をすること」だけを解説します。

2. 準備

  1. q4psのページの「ダウンロード」 から 最新の日付の zip ファイルをダウンロードして適当な場所に展開して下さい。
  2. zip ファイルには q4ps.exe 以外にも幾つかの dll ファイルやフォルダが入っていますが、 そのまま q4ps.exe と同じ場所に置いておいて下さい。
  3. 本体は q4ps.exe です。これをダブルクリックするなどして起動して下さい。

3. 使用法

q4ps.exe を起動すると、図1の様なウインドウが現れます。 この中で赤矢印等で注釈を入れた部分が MCLF法で2次元の解析を行う時に重要な部分です。 それ以外の部分は無視してもらって構いません。

q4ps のメインウインドウ
Fig. 1: 図1. q4ps のメインウインドウ

3.1 標準/リファレンス指定

3.2 データ表示指定

データ表示ウインドウを開くためのボタンです。各ウインドウの説明は別に行います。 とりあえずおいておいて「マップデータ指定」に進んで問題ありません。

3.3 マップデータ指定

3.4 一括指定

ここの「選択」で複数のファイルを選択するか、 ファイル名表示エリアに複数のファイルを一度にドラッグ/ドロップすることで、 複数のマップデータを一度に選ぶことができます。
マップデータ内に測定点のエネルギーの情報が入っている場合なら、ここで一括選択すると解析の準備はほぼ終わります。

3.5 解析とその結果

グラフ表示ウインドウ

メインウインドウの データ表示指定部分で「グラフ表示」ボタンを押すと図2の様なウインドウが表示されます。
色々なグラフが 3行に並んで表示されていますが、ここでは一番上の行の 4つのグラフと中心のグラフだけを見て下さい。

q4ps のグラフ表示ウインドウ
Fig. 2: 図2. q4ps のグラフ表示ウインドウ

4. サンプルファイル

q4ps での解析を体験するためのサンプルファイルを準備しました。

サンプルデータを取得した時の試料セットアップ
Fig. 3: 図3. サンプルデータを取得した時の試料のセットアップ。 画面の上半分を Cu 箔が締め、中央部に重なるように CuO と Cu2O のタブレットが置かれている。 重なり方で言うと「何もない部分」、 「Cuだけの部分」、「CuOだけの部分」、「Cu2Oだけの部分」、 「CuとCuOの部分」、「CuとCu2Oの部分」、「CuOとCu2Oの部分」、 「Cu, CuO, Cu2O が全てある部分」が存在する。

zip ファイルをダウンロードして展開すると、次のように標準試料のデータ3本と、

000-Std-Cu.dat
001-Std-Cu2O.dat
002-Std-CuO.dat

マップデータ8本ができます。

003-Cu2O-CuO-Cu-map-8980-01.dat
003-Cu2O-CuO-Cu-map-9000-01.dat
003-Cu2O-CuO-Cu-map-9020-01.dat
003-Cu2O-CuO-Cu-map-9040-01.dat
003-Cu2O-CuO-Cu-map-9060-01.dat
003-Cu2O-CuO-Cu-map-9080-01.dat
003-Cu2O-CuO-Cu-map-9100-01.dat
003-Cu2O-CuO-Cu-map-9120-01.dat

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田渕のページのルート

1)
対象試料のスペクトルを1つだけ指定して解析する場合に意味があります。 解析の結果、対象の元素が、状態$i$の状態にモル比でどれだけ存在したか( $\alpha_i$ )と、 その元素の全エッジジャンプ(その元素の量に対応する) $\mu t$ の中に、 その状態が締める割合 $\alpha_i\mu t$ が表示されます。
2)
先頭の1行が「 9809」で始まっている、よく 9809フォーマットと呼ばれるファイル。PF発祥で日本国内で広く使われています。
3)
プラグイン無しの素の athena が読むのもこの形式のファイルです。 内部でエネルギーを分光器の回折角に変換する際にSi(111)分光結晶を仮定しています。 違っていてもたぶん不具合は出ません
4)
ファイルの中に
 # ENERGY : 8100 
の様に記録されています。 記録されていない場合でもファイルを編集してこの様な行を追加しておけば q4ps で読んだとき、 自動でエネルギー欄に入力されます
5)
より詳しく言うと、「スペース区切りで word が並んでいる」と見たとき、先頭が「#」、2番目がが「ENERGY」というキーワードだと、4番目の項目をエネルギーの数値と解釈します。
6)
より多くの点を測定するとより良い結果が得られるのが普通です。時間が許すならより多くのマップを測定して下さい。
7)
GUI上部で未知試料の単一スペクトルを指定してた場合、その試料の指定エネルギーでの $\mu t$ が表示される欄です。
8)
別の解析方法の時に使います。現在公開しているバージョンでは「チェックが入っていない」ことを指摘するエラーが表示されますが無視して構いません。
9)
「表示選択」は無視して下さい
10)
現在、赤線の位置は4つの標準試料のスペクトルに対して共通になっています。標準1で赤線を動かすと、標準2〜4でも同時に動いてしまいます。少し不便なこともありますがうまく調整して下さい。
11)
チェックを入れる前でも結果は表示されていますが、(2成分で解析しているので)間違った結果に成っていることを見ておくのも面白いかもしれません。
12)
$\Delta\mu t_1$〜$\Delta\mu t_3$ と 0価、1価、2価が対応するのは、標準1 に Cu を、2に Cu2O を、3にCuO を選んだからです。