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simSL : 超格子回折のシミュレーションプログラム

InGaAsP系III-V族化合物半導体超格子のX線回折のシミュレーション計算を行います。 一回散乱近似で、超格子部分だけの反射の計算を行っています。

1. ダウンロード

解凍した時にできるフォルダの中の、dll ファイルと platforms, styles という二つのフォルダは 実行ファイル simSL.exe と同じ場所に置いておいて下さい。examples は、計算用の設定ファイルの例を収めています。

2. 使ってみる

simSL.exe を起動すると次のような window が現れます。 超格子の層構造など計算に必要な情報を納めたテキストファイル(「条件ファイル」と呼ぶ)を準備し、最上部に現れる「Drop Structure File」にドラッグ/ドロップすると計算されます。 ダウンロードしたファイルの中にある、examples というフォルダに条件ファイルの例が幾つか入っています。 examples の中にある、SL-ex0.exe 等を、ドラッグ/ドロップしてみて下さい。

3. 画面の見方と操作

4. 出力ファイル

計算結果は画面に表示されますが、ファイルとしても保存されます。 ドラッグ・ドロップでしたファイルがあった場所に、同じ名前(但し名前の末尾に '-cmp'、'-dif' という文字列が付け加わった名前)のファイルができます。
'-cmp' が付いたファイルは、「条件ファイル」を解釈した結果の1周期分の組成分布が記録されています。 '-dif' が付いたファイルは、計算された回折強度です。

5. 条件ファイル

条件ファイルの書き方説明するために この節の末尾に条件ファイルの一例を示します。
これは、ダウンロードしたファイルを展開した時にできる examples の中の SL-ex0.txt の内容です。

他の例も確認してみて下さい。

  1. SL-ex0.txt : InGaAs 10ML / InP 10ML の超格子(繰返し20回)、界面はアブラプト
  2. SL-ex1.txt : InGaAs 10ML / InP 10ML の超格子(繰返し20回)、界面は線形に組成が変化し、遷移層は4ML
  3. SL-ex2.txt : InGaAs 10ML / InP 10ML の超格子(繰返し20回)、界面は放物的に組成が変化し、遷移層は4ML
  4. SL-ex3.txt : 純粋な InP。構造がないと超格子回折が出ないことの確認(プログラムのチェック)用。
  5. SL-ex4.txt : InGaAs 20ML / InP 20ML の超格子(繰返し20回)、界面はアブラプト
  6. SL-ex5.txt : InGaAs 20ML / InP 20ML の超格子(繰返し20回)、界面は放物的に組成が変化し、遷移層は10ML
  7. SL-ex6.txt : InGaAs 20ML / InP 20ML の超格子(繰返し20回)、界面は正弦関数的。遷移層は10ML
SL-ex0.txt
# X線の波長(オングストローム単位)
WAVELENGTH 1.500
 
# 基板の組成 : In_x Ga_(1-x) As_y P_(1-y)
# SUBSTRATE III族組成x V族組成y
SUBSTRATE  1.0  0.0  0  # x = 1.0, y = 0.0 すなわち InP   0 : 0 基板を加算する : 1 しない
 
# 超格子を構成する LAYER の指定
# LAYER 厚さ[ML] III続組成x V族組成y  上界面の指定  下界面の指定
# "界面の指定" :: ABRUPT / LINEAR / PARABOLIC  遷移層の厚さ[ML] 界面の先の層のIII続組成x V族組成y
#                 「遷移層」は LAYER の厚さの内にとられる。(LAYER 10 で遷移層が上下ともに 4 だとすると)
#                4ML遷移層/2ML指定組成の層/4ML遷移層 になる。
 
# 10ML の InP で、上下ともにアブラプトに組成変化 (遷移層厚や、上下の組成は意味がない)
LAYER 10  1.0  0.0   ABRUPT 0 0.53 1.0   ABRUPT 0 0.53 1.0
 
# 10ML の InGaAs で、上下ともにアブラプトに組成変化
LAYER 10  0.53 1.0   ABRUPT 0 1.0  0.0   ABRUPT 0 1.00 0.0
 
# 超格子の繰返し回数
REPEAT  20