====== MLCF法 / q4ps 使用に当たっての Tips 的なこと ====== [[tabuchi:mlcf法の紹介|MLCF法]]、[[q4ps|q4ps]] * **標準スペクトルは準備して下さい** : \\ 当然ですが、解析に当たって標準スペクトルは別途準備が必要です。普通のクオリティーの XAFS/XANES スペクトルを準備して下さい。 * **解析に必要なデータ点数は「成分数 + 3」** : \\ 「成分数 + 3」点が最低限必要です。より多くのデータがあるならそれに越したことはありません、6点でも7点でも良いので測定しましょう。\\ 「成分数:$K$」というのは、試料中に含まれていると考えている状態の数、解析に使用するつもりの標準スペクトルの数です。\\ MLCFの解析では、各成分の存在比 ($\alpha_i$ : $i=1,2,K$) と、エッジジャンプ量 $\Delta\mu t$ 、ベースラインの形を決めるパラメータを未知数として決定します。ベースラインの形を直線 $C_0 + C_1 E$ と仮定するなら、未知数は「成分数+3」になります(3 : $\Delta\mu t$、$C_0$、$C_1$)。 * **プリエッジの点は必要か **: \\ 原理的にはプリエッジの点は無くても構いません(実際問題なく解析できます)。ですが、1点入れておくことをお勧めします。(エッジジャンプの大きさを概算で見積もれたりしますので)\\ ただし、プリエッジの点を2点以上いれないで下さい。もし、入れる場合にはその分測定点数を増やして下さい(本来5点で良いケースで、プリエッジを2点とるなら合計6点測定する)。その理由は、次に述べる「等吸収点」と同様プリエッジの点も元素の「状態」に関する情報を含んでいないからです。 * **[[等吸収点|等吸収点]]は避ける** : \\ 測定点を選ぶ際、等吸収点は避けて下さい。3成分以上の試料では見かけ上等吸収点はなくなりますが、2成分だった場合に等吸収点になるような点はできれば避けて下さい。等吸収点は「状態」が違っても同じになる点なので、状態を区別する助けにならないからです。 * **測定間隔は適当でいい** : \\ 適当なエネルギー点をとった時それが等吸収点になってしまう確率は極めて低いので、事前に等吸収点の場所を調べて、微妙に調整したエネルギー点を選ぶ必要はあまりありません(もちろん、事前に調べていてその点を避けて悪いことはないですが)。むしろ系統だったシンプルな規則で機械的にエネルギー点を決めてしまったほうが毎回の条件が揃って良いかもしれません。\\ 吸収端のエネルギーを$E_0$、測定点のエネルギーを$E_0+\Delta E$と書くことにすると、$\Delta E = -10, 10, 20, 30, 40, 60, 80$(eV)、にとるのは一案です。 * **EXAFS領域に入らない** : \\ 当たり前のことですが、XANESの解析ですのでEXAFS領域に入ってしまわないように注意しましょう。$\Delta E = 100, 200, 300, 400, 500$(eV)というような測定はお勧めしません。 * **吸収端も避ける** : \\ 理屈の上では吸収端が含まれていても構わないのですが、実際問題として変化が極めて大きい場所は、何か少しの誤差があった時結果に大きな影響を与えてしまうのであまり望ましくありません。\\ 先に示した測定点の例でも$\Delta E = 0$(eV)の点は意図的に外しています。 * **普通の方法でも測定する** : \\ これも書くまでも無いことですが、代表的な点何点かで標準的な XAFS/XANESスペクトルの測定をしておくのがお勧めです。MLCF / q4ps での解析が正しいかどうかのチェックにもなりますし、自分が選んだ成分数や標準試料が妥当なものかどうかを確認することもできます。