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tabuchi:energy-error

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tabuchi:energy-error [2021/03/03 04:39] – [分光された光のエネルギー変動] mtabtabuchi:energy-error [2021/03/05 09:55] – [2. 光源・光学系の変動] mtab
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 ====== 分光された光のエネルギー変動 ====== ====== 分光された光のエネルギー変動 ======
 +
 +分光された光のエネルギーが意図したエネルギーと違ってしまうのは、
 +何らかの理由で分光器に対する光の入射、出射の角度が変わった時だと考えられる。\\ 
 +(他には、分光結晶の面間隔、回折格子の格子間隔の変化も考えられる。
 +Si の線膨張係数を $4.15 \times 10^{-6}$ [$K^{-1}$] とすると、
 +20℃の温度変化があったとき $1+1\times10^{-4}$ 程度の変化になり、
 +以下で議論する 0.1[eV]相当の変化を生む)
 +
 +===== - 角度変動とエネルギー変動の関係 =====
  
 分光器に入射する光の角度が変わると、反射される(され得る)光のエネルギーが変わる。 分光器に入射する光の角度が変わると、反射される(され得る)光のエネルギーが変わる。
 その度合いは、分光器の角度 / 分光された光のエネルギーによって変わる。 その度合いは、分光器の角度 / 分光された光のエネルギーによって変わる。
  
- +Si(111) 分光結晶 ( 面間隔 $d = 3.1355316$ [Å] とする ) を考えると、1eV の変化に対応する角度の変化は次の表のようになる。
- +
- +
- +
-Si(111) 分光結晶 ( $d = 3.1355316$ [Å] とする ) を考えると、1eV の変化に対応する角度の変化は次の表のようになる。+
  
 ^  分光光のエネルギー ( $E$ [eV] )  ^  角度 ( $\theta$ [deg] )  ^  $\Delta E = 1$ [eV] に相当する角度変化 $\Delta \theta$ [mdeg]  ^   [$\mu$rad]  ^ ^  分光光のエネルギー ( $E$ [eV] )  ^  角度 ( $\theta$ [deg] )  ^  $\Delta E = 1$ [eV] に相当する角度変化 $\Delta \theta$ [mdeg]  ^   [$\mu$rad]  ^
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 5keV 付近と 25keV 付近では、実に 30 倍近く角度変化に対する変動量が違う 5keV 付近と 25keV 付近では、実に 30 倍近く角度変化に対する変動量が違う
 (高エネルギーほど敏感)。 (高エネルギーほど敏感)。
-またいずれにしても数$\mu$rad から数$\mu$rad$ 程度の角度変化で 1eV 程度の影響があることがわかる。+またいずれにしても数$\mu$rad 程度の角度変化で 1eV 程度の影響があることがわかる。 
 + 
 +===== - 光源・光学系の変動 ===== 
 + 
 +あいちSRの硬X線XAFS測定ビームライン BL5S1 および BL11S2 では、 
 +光源や光学系で様々な変動があり得る。 
 +ここでは、想定できる変動の内のいくつかについて、その大きさの度合いと 
 +エネルギー変動にどの程度寄与するかを検討してみる。 
 + 
 +==== - 光源の変動 ==== 
 + 
 +BL5S1、BL11S2 の光源点の位置は長い時間スケール(数分程度以上)で見た時変動している。 
 +光源になる偏向電磁石前後のBPM(beam position mater)で見た時、 
 +10〜100 [$\mu$m] 程度の変化がある。 
 +その変化が前後で同量なら、ビームラインに届く光が平行移動することになるが 
 +変化量が違えば、その差分はビームラインに届く光の傾きを生む。 
 +偏向電磁石前のBPMでみた光の位置を $P_b$、後ろのBPMでみた光の位置を $P_a$ とすると、 
 +光の平行移動量は 
 +\[ 
 +    \frac{\Delta P_b + \Delta P_a}{2} 
 +\] 
 +となる。 
 +角度変化については、BPM間の距離を$L$としたとき、 
 +\[ 
 +    \frac{\Delta P_b - \Delta P_a}{2L} 
 +\] 
 +となる(単位は rad)。 
 + 
 +=== 光源から出射される光の角度変動によるエネルギー変動 === 
 + 
 +$ L = 2 $[m] 程度と考えると、光源の位置変動による角度変動は 
 + 10〜100 [$\mu$m] / 2 [m] = 5〜50 [$μ$rad] ということになる。 
 +これを先の表と照らし合わせると 1eV のエネルギー変動に相当する。 
 + 
 +=== 光源から出射される光の平行移動によるエネルギー変動 === 
 + 
 + 
 + 
  
  
tabuchi/energy-error.txt · 最終更新: 2021/10/06 09:20 by mtab